小説 風のおくりもの1ー抜けるように高い空。一面の青。 人々はこの世界の空が変わってしまうことなんて、誰も思っていなかった。 このどこまでも高い空が・・・今となっては過去のことかもしれない。しかしあの忌まわしい事件普通の人々にとってはただの事件かもしれない、ただ彼にとっては・・・ 天頂に輝くは満月。 月、それは人類が地球以外で始めて到達した天体である。宇宙開発が始まって以来、世界各国は競うように月を目指した。まるで人類の帰るべき場所であるかのように・・・ 月に到達したのはアメリカのアポロ計画と、非公式ではあるが日本が秘密裏に計画していた計画であった。この文はこう始まっている、 「これは人類にとって小さな・・・」 ?「ねー、もうその話は聞き飽きたよぉ」 明日香が口を尖らせていた。 幸人「ここから話さないと・・・そもそもそっちがききたいって!!」 明日香「ハイハイ・・・わかりましたよぉ~。」 幸人は2年前の宇宙開発プジェクト民間宇宙船1号墜落事件の唯一の生存者であった。 明日香のほうはその宇宙船プロジェクト開発会社の社員であった もちろん幸人は、明日香のことをうらんでいたりなんかいていなかった・・・そうはずだった・・・ 明日香「そうだー明日からのことなんだけど、」 幸人「ハイハイ、明日学校終わったらメールするから~」 明日香「絶対わすれないでよー??それよりはやく部屋・・・の黒いのを・・・」 幸人「よし!やるか!」 明日香「終わったら呼んでねー」 今日だけ明日香の部屋と化している部屋のゴキブリ駆除作戦!!そう・・・掃除をしていたら、黒い悪魔が出たのであった・・・黒くて硬くてテカテカしてて・・しめったとこが大好きでものすごく足の速い生物が・・・ 本棚やタンスなどの裏が要チェックポイントだ! 幸人「う~ん重い・・・仕方ない引き出しから出すか・・」 ・・・・・・ 引き出しにはいろんなものが入っていた。 そして・・・・ギギギィ~・・・ 中には一冊のアルバム・・・ 幸人「これは・・・」 ここにあるということは宇宙船事故で死んだ母さんお父さんのものとなる。 それでなんでこんなところにあるんだろう。普通本棚に並べておくものだ・・・ 写真とは不思議なものだ。時間と空間を切り取ることができる。 しかも、切り取られたものは形となって永遠に残るものだ。 それは曖昧で不確かな人間の記憶とは違う。そう幸人には事故前の記憶がなかった、しかしかれはそんなこときにせず生活していた。 写真に残されたるものは、厳然たる事実。 過去の記憶・・・それが彼の手の中にあった。 最初のページを開いてみる・・・ 色あせた写真の中に、知らない人の顔があった。 何人もの知らない人の顔彼の両親の顔もある。 次々とページをめくっていく。 繰りかえじあらわれる男女の顔。 しばらく二人の生活をつつった写真が続く。 初めて見覚えがある顔が出てきた。 有名な宇宙飛行士の顔だった。僕が今まで見てきたどの写真よりもいい笑顔で笑っていた。両親も宇宙研究所に勤めていたのだから関係があっても不思議ではない。 更に |